シミュレーション環境の構築¶
シミュレーション用PCの用意¶
まずはシミュレーション用のPCを用意して、Choreonoidをインストールします。
使用するPCのOSとスペックについては、 使用シミュレータ で提示した情報を参考にして用意してください。
OSはUbuntu 16.04 64bit版の使用を前提としています。Ubuntuの日本語版ISOイメージは Ubuntu Japanese Team のサイトからダウンロードできますが、現在の最新版は18.04となっており、16.04をダウンロードする場合は少し込み入ったリンクをたどる必要あがあります。 日本国内のダウンロードサイト の一番下に「Japanese Teamのリリースイメージ」とありますので、そこに挙げられているサーバの中から適当に選んで、 "releases/16.04/ubuntu-ja-16.04-desktop-amd64.iso" をダウンロードしてください。
なお、今回のサンプルはUbuntu 18.04でも動作することを確認しています。ただし2018年12月25日現在、Ubuntu 18.04に対応したOpenRTM(バージョン1.2.0)がリリースされていませんので、OpenRTMを使用するサンプルは実行することができません。ROSを使用したサンプルについては、18.04でも動作します。
注釈
Ubuntuはネイティブインストールされたものを使用してください。仮想マシンでも動かないことはありませんが、シミュレーションが遅くなったり、一部不具合が生じる可能性があります。どうしても仮想マシンで試したい場合は、 VMWareを用いたUbuntu16.04仮想マシンの構築 を参考にしてください。ただし、WRS2018のサンプルシミュレーションが正常に動作することは保証できません。
Gitのインストール¶
以下の作業を進めるにあたって、バージョン管理システムのGitが必要となります。まだインストールしていない場合は、以下のコマンドでインストールしておきます。
sudo apt install git
AGX Dynamicsのインストール¶
AGX Dynamicsのライセンスをお持ちの場合は、あらかじめ AGX Dynamics をインストールしておきます。販売元より提示されたAGX Dynamicsのダウンロードサイトから、対応するUbuntuバージョン(通常はx64、Ubuntu 16.04)用のパッケージをダウンロードします。また、USBドングルの提供を受けている場合は、それをPCに挿しておくようにしてください。
パッケージがダウンロードできたら、AGX Dynamicsのインストール(Ubuntu Linux編) の説明に従ってインストールを行います。
AGX Dynamicsのラインセンスをお持ちでない場合、この作業はスキップしてください。
OpenRTM-aistのインストール¶
OpenRTMによる遠隔操作サンプル を実行する場合は OpenRTMプラグインの使用準備 の説明に従って、まず OpenRTM-aistのインストール を行ってください。また、 CORBAの設定 も行っておきます。
バージョン1.1.2の不具合への対処 についても必ず行っておくようにしてください。
Choreonoidのインストール¶
Choreonoid最新版(開発版)マニュアル の ソースコードからのビルドとインストール (Ubuntu Linux編) に従って、Choreonoidの最新の 開発版 をインストールします。
インストールの詳細は上記ドキュメントを参照いただくとして、Ubuntu 16.04においては、以下のコマンドを実行していきます。
まずGitリポジトリからChoreonoidのソースコードを取得します。
git clone https://github.com/s-nakaoka/choreonoid.git
取得したソースコードのディレクトリに移動します。
cd choreonoid
依存パッケージのインストールを行います。
misc/script/install-requisites-ubuntu-16.04.sh
(Ubuntu 18.04 の場合は、install-requisites-ubuntu-18.04.sh を実行します。)
CMakeによるビルドの設定を行います。Choreonoidのデフォルトの機能だけ利用するのであれば、
cmake .
を実行します。
ただしWRS2018のサンプルを実行するためには、以下のオプションも有効(ON)にする必要があります。
- WRS2018サンプル
- BUILD_WRS2018
- AGX Dynamics を利用する場合
- BUILD_AGX_DYNAMICS_PLUGIN
- BUILD_AGX_BODYEXTENSION_PLUGIN
- 煙や炎を再現する場合
- BUILD_SCENE_EFFECTS_PLUGIN
- マルチコプタを使用する場合
- BUILD_MULTICOPTER_PLUGIN
- BUILD_MULTICOPTER_SAMPLES
- OpenRTMを利用する場合
- ENABLE_CORBA
- BUILD_CORBA_PLUGIN
- BUILD_OPENRTM_PLUGIN
- BUILD_OPENRTM_SAMPLES
- 競技用のプラグイン(主に審判が使用)
- BUILD_COMPETITION_PLUGIN
これらのオプションの設定はccmakeコマンドを使ってインタラクティブに行うこともできますが、cmakeコマンドに-Dオプションを与えることも可能です。例えば、BUILD_SCENE_EFFECTS_PLUGINをONにするには、以下のように入力します。
cmake -DBUILD_SCENE_EFFECTS_PLUGIN=ON
このオプションは複数つけることができます。上記のオプション全てを有効にする場合は、以下のように入力してください。
cmake -DBUILD_AGX_DYNAMICS_PLUGIN=ON -DBUILD_AGX_BODYEXTENSION_PLUGIN=ON -DBUILD_SCENE_EFFECTS_PLUGIN=ON -DBUILD_MULTICOPTER_PLUGIN=ON -DBUILD_MULTICOPTER_SAMPLES=ON -DENABLE_CORBA=ON -DBUILD_CORBA_PLUGIN=ON -DBUILD_OPENRTM_PLUGIN=ON -DBUILD_OPENRTM_SAMPLES=ON
AGX DynamicsやOpenRTMをインストールしていない場合は、それぞれに対応するオプションを上記のコマンドライン引数から除去して実行してください。
次に、makeコマンドでビルドを行います。
make
なお、マルチコアCPUをお使いの場合は、makeコマンドに -j オプションをつけてビルドを並列化するとよいです。例えば次のようにします。
make -j 8
この場合、最大で8つのプロセスを同時に実行してビルドを行います。4コア8スレッドのCPUの場合はこのように入力するとよいでしょう。通常、CPUの論理コア数を指定します。
一度インストールを行った後も、上記の作業を行ったソースディレクトリ上で以下のように実行することで、常に最新版のChoreonoidを利用することができます。
git pull
make -j 8
今回は、競技会の開催が近づくまで当面Choreonoidの開発が続くことを予めご了承ください。これを踏まえて、随時最新版に更新しながら準備を進めていただければと思います。何か不具合が生じましたら、 サポート までご相談ください。
描画に関わる設定¶
Choreonoidのインストールにおいては、 Ubuntu LinuxにおけるGPUドライバのインストール が可能であれば、必ず導入しておくようにしてください。また、 三次元描画エンジンの切り替え についても、可能であればGLSL描画エンジンに切り替えるようにしてください。WRS2018のシミュレーションでは高度な描画能力が要求されるため、完全なシミュレーションを行うためにはこれらの設定が欠かせません。
また、 Qtスタイルの変更による描画速度の改善 についても適用しておくとよいかと思います。
ゲームパッドの準備¶
今回のサンプルでは、ゲームパッドでロボットを操作することができます。これを行うために、ゲームパッドを用意して、PCに接続しておいてください。
使用可能なゲームパッドについては、Tankチュートリアル の ゲームパッドの準備 を参照してください。おすすめはプレイステーション4用の DUALSHOCK4 コントローラです。DUALSHOCK4は USBワイヤレスアダプター によるワイヤレス接続も可能です。